発行済みの請求書の控えと通帳・入金明細を見比べながら、入金が来ているかひとつずつ確認しているひとり経理の担当者

請求書の発行から入金確認まで|ひとり経理の基本フロー

「あの会社の請求書、先月出したはずだけど……入金、ちゃんと来てたっけ?」 通帳を見ながら、ふと手が止まる。請求書は作って送った。でも、そのあと「いくら・いつ入る予定で、実際に入ったか」を最後まで追えているか自信がない——ひとりで経理を回していると、この感覚は本当に身近ですよね。

請求のしごとは、請求書を作って送ったら終わり、ではありません。発行 → 送付 → 入金予定の管理 → 入金確認(消し込み)まで、ぐるっと一周してはじめて「回収できた」になります。そして、その一周をひとりで全部追うのは、地味だけれど、かなり神経を使う仕事です。

この記事では、その一周の流れを順番に分けて整理します。今日は全部を完璧にしなくて大丈夫。まずは「どこで何をするのか」という地図を一緒に作って、抜けやすいポイントに印をつけていきましょう。

結論:請求から入金までは、次の流れで考えると抜けが減ります。①締め日に金額を確定して請求書を作る → ②取引先のルール(締め・支払サイト・送付方法)に合わせて送る → ③「いつ・いくら入る予定か」を一覧で管理する → ④入金日に通帳と請求の控えを突き合わせて消し込む → ⑤入っていない・金額が違うものだけを残して追う。ポイントは、③の「入金予定の一覧」を持つこと。これがないと、入金漏れに気づくのが遅れます。請求書の記載事項(とくにインボイス対応)や税の扱いに迷うときは、顧問税理士に確認すると安心です。

請求のしごとは「一周」でできている

最初に、全体像だけ押さえておきましょう。ここが見えると、自分が今どこにいるのかが分かり、抜けに気づきやすくなります。

ひとり経理だと、請求書を「作る人」「送る人」「入金を確認する人」が全部自分です。だからこそ、最初の発行と最後の入金確認がつながっていないと、「出したけど追えていない」請求がこっそり生まれてしまいます。

請求のしごとを、5つのステップに分けて考えてみます。

請求書の発行から入金確認までの流れを発行・送付・予定管理・消し込み・回収の5段階で示した図
請求は一周でひとつ。発行で終わりではなく、入金の消し込みまで追って完了する

ステップ1:締め日に金額を確定して請求書を作る

請求書づくりは、「金額を確定する」ところから始まります。月末締めの取引先なら、その月に売り上げた分を締め日で区切って、請求金額をまとめます。

ここで確認したいのは、次のような点です。

請求書の記載事項は、インボイス(適格請求書)に対応しているかどうかで変わります。自社が適格請求書発行事業者なら、登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額などを正しく載せる必要があります。自社の請求書ひな型がインボイスの形式になっているか不安なときは、一度顧問税理士に見てもらうと安心です。

ステップ2:取引先のルールに合わせて送る

請求書ができたら送りますが、ここで地味につまずきやすいのが「取引先ごとにルールが違う」ことです。

この「相手のルール」を取引先ごとにメモしておくと、毎月「あれ、ここは何日締めだっけ」と調べ直す手間が減ります。送付方法や締切を守れないと、支払いがまるごと1か月後ろにずれることもあるので、ここは丁寧に。

とはいえ、件数が多いと全部を一気にメモするのは初回の負担が重いですよね。無理にそろえなくて大丈夫です。最低ラインは、新規の取引先は初回だけメモを残す既存の取引先は気づいたときに少しずつ追記する——これで十分。完璧な一覧を最初に作ろうとせず、触れた相手から埋めていけば、自然とたまっていきます。

なお、送ったら控え(PDFや写し)を必ず手元に残すことも忘れずに。あとで「いくらで請求したか」を確認するとき、控えがないと突き合わせができません。

ステップ3:「いつ・いくら入る予定か」を一覧で管理する

ここが、この記事でいちばん伝えたいステップです。

請求書を送った時点で、「この請求は、いつ・いくら入る予定か」が決まります。たとえば「5月末締め・翌月末払い」なら、入金予定は6月末です。この予定を、一覧(入金予定表・売掛金一覧など)にして持っておきます。

取引先請求月請求額入金予定日入金確認
A商店5月分110,0006/30
B工業5月分88,0006/30
C社5月分220,0007/31予定

この一覧があると、入金日が来たときに「今日はどこから入る予定だったか」がすぐ分かります。逆に、これがないと、入金が来ていないことにそもそも気づけません

ただ、ひとり経理だと、この一覧を別途つくる時間そのものが取れないことも多いですよね。大事なのは「入る予定が一覧で見える」ことなので、会計ソフトの売掛金管理で、取引先ごとの未入金が一覧で見られているなら、新しく表をつくらなくて大丈夫です。すでにある画面で代替できているなら、それで十分。手元に売掛金一覧の仕組みがないときだけ、シンプルなエクセル一覧を用意すれば十分です。自分が毎月見返せる形になっていれば、形式は問いません。

ステップ4:入金日に通帳と控えを突き合わせて消し込む

入金予定日が来たら、通帳(ネットバンキングの入金明細)と、請求の控え・一覧を突き合わせます。これが「消し込み」です。

手順はシンプルです。

  1. 通帳の入金明細を開く
  2. 入金予定の一覧と照らし合わせる
  3. 予定どおり・予定額どおりに入っているものに「済」をつける
  4. 会計ソフト上で、売掛金を入金として処理する

ぴったり合っていれば、その請求は「回収完了」です。ここまでやって、ようやく請求の一周が閉じます。

ステップ5:合わないものだけを残して追う

消し込みをしていくと、「予定どおりに入っていないもの」「金額が合わないもの」だけが手元に残ります。ここに、追うべき相手が見えてきます。

合わない原因は、たいてい次のどれかです。

大事なのは、「合わない=すぐ督促」ではないということです。まず原因を確認する。手数料や合算なら、計算上は合っています。本当に入っていないものだけを、入金予定日を過ぎてから、やわらかく確認していきます。

ここで毎月の照合を軽くするコツがひとつ。差額の原因は、毎月同じ相手は、毎月同じ理由のことがほとんどです。たとえば「この会社はいつも振込手数料を引いてくる」「ここは2件まとめて入る」といった理由は、一度わかったら取引先のメモに残しておきましょう。次の月からは、その相手の差額は確認を省いて構いません。毎回ゼロから原因を探さなくてよくなるだけで、照合はぐっと楽になります。差額や手数料の確認順については、関連記事とあわせて少しずつ整理していきましょう。

抜けやすいポイント、チェックリスト

請求から入金までで見落としやすいところを集めました。ただ、8項目を毎月ぜんぶチェックするのは現場だと多すぎます。毎月かならず見るのは次の3つだけにして、あとは「一度やれば、しばらく免除」でかまいません。手が止まったら、まずこの3つから確認してみてください。

毎月かならず(この3つだけ)

初回・変更時だけ(一度やれば免除)

ときどき・条件つき

明日やること(まず1つだけ)

全部を一度に整えようとすると、それだけで気が遠くなります。 明日やることは、「先月送った請求書のうち、入金が確認できていないものが1件でもないか、通帳と照らし合わせてみる」だけで十分です。

もし見つかったら、それを「入金予定の一覧」の最初の1行にしてみてください。その一覧が、これから入金漏れに気づかせてくれる、あなたの目になります。小さな一歩ですが、確実に「追えていない請求」を減らしていきます。

最後に

請求書を出して、送って、入金を待って、ひとつずつ通帳と突き合わせる——この一周を、誰にも代わってもらえないまま、毎月ひとりで回しているのは、本当に大変なことです。入金がひとつ合わないだけで、ざわっと不安になる。その気持ちは、ちゃんと回そうとしている証拠です。

入金予定の一覧にすべて確認済みの印がつき、回収を追い切れて落ち着いた表情のひとり経理の担当者

でも、これは「一発で完璧に回す試験」ではありません。発行から入金確認までの流れに沿って、抜けやすいところに印をつけて、ひとつずつ突き合わせる。その型ができれば、もう「出したきり追えていない」は起きません。 今日、請求の一周の地図がひとつ頭に入ったなら、それはもう「なんとなく不安」が「順番に確認できる」に変わり始めた証拠です。完璧でなくて大丈夫。今日できたところまでで、十分前に進んでいます。

本記事は一般的な実務情報です。請求書の記載事項(インボイス対応)や消費税・税務の取扱いは、個別の事情や最新の制度によって異なります。最終的な判断は国税庁の情報や、顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。

月次の進め方を整えたいときは、ひとり経理の月次決算チェックリストも、ほかの請求・支払の手順とあわせて記事一覧から少しずつ一緒に整理していきましょう。

関連用語