机の上に何枚も重なった請求書の控えと通帳を見比べながら、どの入金がどの請求書の分なのか考えているひとり経理の担当者

締め請求と都度請求の使い分け|合計請求書で入金管理を楽に

月末、通帳に入金が1件。金額は、どの請求書の金額とも合いません。

その取引先には、今月だけで納品のたびに4枚の請求書を出しています。2枚分をまとめて払ってくれたのか、1枚は先月の分なのか。控えを並べて電卓をたたき、組み合わせを探しているうちに、気づけば夕方です。

しかも別の取引先からは「うちは月末締めで1枚にまとめてください」と言われていて、こちらはこちらで、請求書を出し忘れていないか気になっている。

請求のしかたが取引先ごとにばらばらなのは、あなたの段取りが悪いからではありません。取引先の都合や、取引が始まったときの流れで、少しずつそうなっていくものです。

この記事では、締め請求と都度請求の違いと、取引先ごとにどちらにするかの決め方、そして合計請求書(月まとめの請求書)の作り方を、一緒に整理していきます。

結論:締め請求は「締め日までの取引を1枚にまとめて請求する」方法、都度請求は「取引のたびに1枚ずつ請求する」方法です。継続して何度も取引がある相手は締め請求にすると、請求書1枚と入金1件が対応するので、消し込み(入金と請求書を照らし合わせて片づける作業)がぐっと楽になります。単発の取引や、初めての相手、大きな金額の取引は都度請求が向いています。大事なのは、取引先ごとにどちらか1つに決めて、取引先の一覧に書いておくこと。今日はまず、取引の多い取引先を3社だけ、どちらにするか決めてみましょう。

何が起きているか|請求のしかたが、取引先ごとにばらばら

ひとり経理で請求まわりが重くなるのは、作業そのものより、取引先ごとにルールが違うのに、それがどこにも書かれていないことが原因になりがちです。

どれも、誰かがさぼった結果ではありません。「この取引先はどちらの請求か」という一行が決まっていないから、毎回その場の判断になっているだけです。

締め請求と都度請求の違い

まず、2つの違いを並べてみます。

都度請求締め請求(月まとめ)
請求書を出すタイミング納品・作業完了のたび締め日(例:末日、20日)にまとめて
請求書の枚数取引の数だけ取引先ごとに月1枚
入金のタイミング取引ごとに早めに入りやすい締め日のあと、まとめて入る
消し込み枚数が多く、まとめ払いされると組み合わせ探しになる請求書1枚と入金1件が対応しやすい
抜けやすいところ請求書の出し忘れは少ないが、枚数が多い締め日までの間の納品の載せ忘れ
向いている相手単発の取引、初めての相手、高額の取引毎月何度も取引がある継続取引先
左側は納品のたびに請求書が1枚ずつ出ていく都度請求、右側は複数の納品書が1枚の請求書にまとまっていく締め請求を、左右に並べて比べた図
都度請求は「取引のたびに1枚」、締め請求は「締め日にまとめて1枚」。継続取引先は右の形にすると、入金との照合が楽になります

どちらが正しい、というものではありません。相手との取引のしかたに合わせて選ぶものです。そして、いちばん楽になるのは「どちらかに統一すること」よりも、取引先ごとに決めて、迷わないようにしておくことです。

どちらにするかの決め方|3つの目安

迷ったときは、次の3つを順番に見てみてください。

1. 同じ相手と、月に何回取引があるか

月に2回以上、毎月のように取引がある相手なら、締め請求が向いています。請求書の枚数が減り、相手の支払処理も1回で済むので、喜ばれることも多いです。月に1回あるかないかの相手なら、都度請求でも手間は変わりません。

2. 初めての相手か、金額が大きいか

初めて取引する相手や、1回の金額が大きい取引は、都度請求にして、まず1回きちんと入金されることを確かめるのが安心です。締め請求にすると、締め日までの取引がまとめて未回収のまま積み上がるからです。何度か取引が続いて、入金も順調なら、そこから締め請求に切り替えれば大丈夫です。

3. 相手から指定があるか

取引先によっては「毎月20日締めで請求書を1枚に」「当社の書式で」と決まっていることがあります。その場合は、相手のルールに合わせます。締め日がいつなのかは、支払予定・入金予定を組むもとになるので、支払サイトと締め日|資金繰りで慌てないための基本と管理のコツもあわせて見ておくと整理しやすくなります。

決めたら、取引先の一覧(取引先マスタ)に「締め請求・末日締め」「都度請求」と1行書いておく。これだけで、次から迷わなくなります。一覧の作り方は取引先マスタの整え方|振込先・締め日・支払サイトを1か所ににまとめています。

具体例|合計請求書(月まとめの請求書)の作り方

締め請求でよく使うのが、締め日までの取引を1枚にまとめた合計請求書です。たとえば、末日締めの取引先に、9月中に3回納品した場合はこうなります(金額はすべて例です。消費税はすべて10%の取引とします)。

納品日内容金額(税抜)
9月3日商品A120,000円
9月12日商品B85,500円
9月24日商品A46,300円
10%対象の合計251,800円
消費税(10%)25,180円
ご請求額276,980円

ポイントは3つです。

取引先によっては、合計請求書に「前回ご請求額・ご入金額・繰越金額」の欄を設けている会社もあります。前の月の請求が入金されていないと繰越として残るので、お互いに未入金に気づきやすいのが良いところです。ただ、繰越がある月は今回のご請求額が今月の取引分と一致しなくなるので、入金の確認では「今月分」と「繰越分」を分けて見るようにします。

締め請求の「載せ忘れ」を防ぐ

締め請求でいちばん気をつけたいのは、締め日までの間の納品が請求書から抜けることです。対策はシンプルで、納品したら、その日に請求管理表へ1行入れておくこと。締め日には、その取引先の行を集めて合計請求書を作ればいいので、記憶に頼らずにすみます。請求管理表の作り方は請求漏れ・二重請求を防ぐ請求管理表|ひとり経理の作り方と回し方で整理しています。

影響|締め日と決算日がずれるときだけ、ひと手間

締め請求にすると、ひとつだけ注意したい場面があります。締め日が月末ではなく、決算月を迎えるときです。

たとえば、3月決算の会社で、ある取引先が「20日締め」だったとします。3月21日〜31日に納品した分は、請求書は4月20日締めの分に載ります。でも、売上はふつう請求書を出した日ではなく、納品した日(会社が決めている計上の基準日)で計上します。つまり、3月21日〜31日の納品分は、請求書がまだなくても3月の売上です。

ふだんの月は、締め日ごとに請求書の金額で売上を入れていても大きな問題にならないことが多いのですが、決算月だけは「締め日のあと、月末までの納品分」を拾って売上(と売掛金)に入れておきます。請求管理表に納品日を入れておけば、ここも表から拾うだけで済みます。計上する月の考え方は期ズレを防ぐ|計上月を間違えない発生主義の考え方へ。

都度請求の取引先でも、締め請求の取引先でも、「売上は納品日、請求は約束どおりのタイミング」と分けて考えておくと、迷いが減ります。

明日やること(まず1つだけ)

明日やるのは、全取引先の請求方法を見直すことではありません。

取引の多い取引先を3社選んで、「締め請求か、都度請求か」「締め日はいつか」を取引先の一覧に1行ずつ書く。 それだけです。

いま都度請求で、まとめ払いされることが多い取引先がいたら、次に連絡するときに「来月から末日締めで1枚にまとめてもいいですか」と一言聞いてみてください。相手にとっても支払処理が1回になるので、案外すんなり決まることがあります。

締め請求・都度請求のチェックリスト

上から順に。今日は「まずここだけ」の1つで十分です。

最後に

1枚にまとまった請求書の控えと通帳を見比べて、金額がぴったり合ったことにほっとして笑顔を見せるひとり経理の担当者

冒頭の、どの請求書とも合わない入金に戻ります。

控えを並べて組み合わせを探していたのは、あなたが入金を1件ずつ、きちんと照らし合わせようとしているからです。その丁寧さは、ひとり経理のいちばんの強みです。

締め請求か都度請求かを取引先ごとに決めておくのは、その丁寧さを、毎月の組み合わせ探しから「請求書1枚と入金1件を見比べるだけ」に変えるための工夫です。全部の取引先を一度に変えなくていい。まずは3社、一行ずつ決めていけば、来月の月末はきっと今日より少し静かです。一緒に始めてみましょう。

本記事は一般的な実務情報です。請求方法や締め日は、取引先との契約や取引の内容によって異なります。売上の計上基準やインボイスの取扱いで迷う場合は、最終的な判断を顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。

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