月末の事務所で、ノートパソコンの振込画面に1件ずつ入力しながら、手元の支払一覧を目で追っているひとり経理の担当者

ネットバンキングの総合振込|支払データで月末の振込を一括処理

月末の午後。今月の支払いは、28件あります。

ネットバンキングの振込画面を開いて、支払一覧の1行目から。振込先を選んで、金額を入れて、確認して、ワンタイムパスワードを入れて、送信。2件目、3件目……。

15件を過ぎたあたりで、目が一覧の行を追えなくなってきます。「いま、何行目だっけ」。 指で紙を押さえながら、もう一度画面に戻る。終わったころには、外が少し暗くなっています。

ここは、ひとり経理の多くが「こういうものだ」と思って続けている作業です。でも、毎月同じ相手に、同じような形で払っているなら、1件ずつ手で入れなくても大丈夫なしくみがあります。それが、ネットバンキングの総合振込です。

結論:総合振込は、複数の振込を1つのデータにまとめて、1回の操作で送るしくみです。法人向けネットバンキングの多くで使えます。始めるなら、①準備する(契約・権限・振込先の登録)→②データを作る(支払管理表から作る)→③送って確かめる(件数・合計の照合と、送ったあとの結果確認)の3ステップで考えます。一度に全部を移さなくて大丈夫です。まずは毎月決まって払う数件だけから始めてみましょう。

総合振込とは|1件ずつの振込との違い

総合振込(そうごうふりこみ)は、仕入先や外注先など、複数の相手への振込をひとまとめにして、指定した日に一括で送るしくみです。法人向けのネットバンキング(インターネットバンキング)で提供されていることが多く、銀行によっては「総合振込」「一括振込」などの名前で呼ばれています。

1件ずつの振込と比べると、違いはこのくらいです。

1件ずつの振込総合振込
入力1件ごとに画面で入力振込先を登録しておき、金額を入れる/データを取り込む
送信1件ごとに確認・送信まとめて1回で確認・送信
振込日その場で送ることが多い振込日を指定して、前もって予約するのが基本
確認1件ずつ見る件数と合計金額で、まとめて照合できる
承認銀行の設定しだい作る人と承認する人を分ける設定ができる銀行が多い

いちばん大きいのは、「件数と合計金額」で確かめられることです。28件を1件ずつ見るのは大変ですが、「28件・合計3,264,500円」が支払管理表と一致しているかなら、1回で見られます。

なお、従業員への給与の振込は、総合振込とは別の「給与振込」のサービスで扱う銀行が一般的です。この記事では、仕入先や外注先などへの支払いを前提に整理します。

総合振込を始める3ステップ|準備・データ作成・送信と確認

総合振込は、準備する → データを作る → 送って確かめるの3ステップで回します。最初の準備に少し手間がかかりますが、2か月目からは「データを作る」と「送って確かめる」だけになります。

左から右へ、取引先カードを並べて整理する絵、表計算の一覧表から1本の矢印が出ている絵、送信済みの封筒と大きなチェックマークの絵が矢印でつながり、それぞれの下に「準備」「データ作成」「確認」のラベルがある図
総合振込は「準備→データ作成→確認」の3ステップ。準備は最初の1回だけで、翌月からは右の2つを回します

ステップ1:準備する|契約・権限・振込先の登録

最初に確かめるのは、いま使っている法人向けネットバンキングで、総合振込が使えるかです。契約しているプランによっては、総合振込が別の申込みになっていることもあります。銀行のサービス案内や、契約時の書類を一度見てみてください。

使えると分かったら、次の3つを整えます。

  1. 権限(だれが作って、だれが承認するか):総合振込は、データを作る人と、送信を承認する人を分けて設定できる銀行が多くあります。ひとり経理なら、作るのは自分、承認は社長という形にしておくと、お金が出ていく最後の一押しに、もう一人の目が入ります。
  2. 振込先の登録:毎月払う相手を、ネットバンキングの振込先として登録します。銀行名・支店名・口座種別・口座番号・受取人名(口座名義のカナ)を、取引先マスタや請求書の記載と1件ずつ突き合わせて入れます。最初の登録がいちばん大事なところです。
  3. 締切と予約のルールを知る:総合振込は、振込日の何営業日前の何時までに送信(承認)すればよいかが銀行ごとに決まっています。いつまで先の日付を予約できるかも銀行しだいです。ここだけは、自社の銀行のルールを一度メモしておきましょう。

振込先の情報を1か所にまとめる考え方は取引先マスタの整え方|振込先・締め日・支払サイトを1か所ににまとめています。取引先から「口座が変わりました」と連絡が来たときは、登録を書き換える前に取引先から振込先口座の変更連絡|支払を止めて確かめる手順の手順で、必ず確かめてから直してください。

ステップ2:データを作る|支払管理表から作る

総合振込のデータは、多くの銀行で次の2つのどちらかの方法で作れます。

ファイルの形式は、全国銀行協会が定めた全銀フォーマット(全銀協規定の固定長形式)や、銀行が指定するCSVなどです。会計ソフトや支払管理のクラウドサービスの中には、支払予定から全銀フォーマットのファイルを書き出せるものもあります。どの形式が使えるかは、銀行と、お使いのソフトの案内を見てください。

どちらの方法でも、元にするのは支払管理表です。

ここで大切なのは、データを作る前に、支払管理表の側で「今月払うもの」を締めておくことです。データを作りながら金額を直し始めると、表とデータのどちらが正しいのか分からなくなってしまいます。

支払管理表そのものの作り方は買掛金・未払金の支払漏れを防ぐ|支払管理表の作り方で整理しています。振込手数料をどちらが負担するかで金額が変わる取引先は、振込手数料は誰が負担?先方負担・当方負担の仕訳の基本も見ておくと、データを作るときに迷いません。

ステップ3:送って確かめる|件数・合計の照合と、送ったあとの結果

データができたら、送る前に件数と合計金額を照合します。

一致を確かめたら、振込日を指定して送信(承認の依頼)をします。作る日と送る日を分ける(たとえば前日に作って予約、当日の朝に予約内容を見る)と、時間をずらした目で見直せます。照合のしかたは経理のダブルチェック|ひとりでも2人目を作る4つの型と使い分けでくわしく書いています。

そして、送ったら終わりではありません。振込日が過ぎたら、次の2つを見ます。

もし金額や振込先を間違えて送ってしまったと気づいたら、まずは慌てずに銀行へ連絡します。送金をとりやめる手続き(組戻し・くみもどし)は、相手の同意が必要になることや、手数料がかかることがあるので、銀行の案内に沿って進めます。

具体例|毎月28件の支払を総合振込に移す(架空)

架空の会社で、移し方を見てみます。

月末の支払いが28件ある会社。これまでは、ネットバンキングで1件ずつ振り込んでいました。1件に2〜3分かかるとすると、28件で56〜84分。月末の午後がほぼ埋まっていました。

  1. 準備(最初の月):銀行の案内を見て、総合振込が契約に含まれていることを確認。権限は「作成=経理、承認=社長」に設定。締切は「振込日の前営業日の15時まで」とメモ。
  2. 少しずつ移す:28件のうち、毎月同じ相手に払っている12件だけを、取引先マスタと突き合わせて振込先に登録。残りの16件は、これまでどおり1件ずつ振り込む。
  3. データを作る:支払管理表で今月払う12件を締め、件数12件・合計1,846,200円とメモ。画面で12件を選んで金額を入れ、画面の件数・合計がメモと一致することを確かめた。
  4. 送って確かめる:振込日の前日に予約して社長に承認を依頼。当日の朝、予約内容を照会。振込日の翌営業日に振込結果を照会し、12件すべて正常、出金額も一致していることを確認した。

翌月、残りの16件のうち、また毎月払う相手を登録していきます。全部を一度に移さなくても、登録した分だけ、月末の手入力が減っていきます。

月総合振込の件数1件ずつの件数メモ
1か月目12件16件毎月払う相手から登録
2か月目20件8件登録を8件追加
3か月目25件3件スポットの支払だけ1件ずつ

スポット(その月だけ)の支払は、無理に総合振込に入れなくても構いません。毎月の定番がまとまれば、それで十分です。

影響|総合振込にすると、何が変わるか

総合振込に移していちばん変わるのは、「1件ずつ入れる時間」が「まとめて確かめる時間」に置きかわることです。

そして、月末に28件をひとりで打ち込んできたことは、毎月の支払いをきちんと止めずに回してきたということです。総合振込は、そのていねいさを、少しだけ手の負担の少ない形に置きかえるだけのことです。

明日やること(まず1つだけ)

明日やるのは、全部の振込を総合振込に移すことではありません。

いま使っているネットバンキングで、総合振込が使えるかどうか、そして締切が「振込日の何日前の何時まで」かを、1回だけ確かめてみる。 それだけです。

使えると分かったら、来月は、毎月決まって払っている相手を3件だけ、振込先に登録してみましょう。その3件が、月末の午後を取り戻す最初の一歩です。

総合振込のチェックリスト

上から順に。今日は「まずここだけ」の1つで十分です。

最後に

夕方前の明るい事務所で、ノートパソコンの画面を確かめ終えて、ほっとした笑顔でマグカップを手にするひとり経理の担当者

冒頭の、月末の午後に戻ります。

28件を1件ずつ入れてきたのは、手際が悪いからではありません。払うべき相手に、払うべき金額を、毎月まちがえずに届けてきた。その積み重ねがあるから、いま「もう少しラクにできないかな」と考えられるのです。

総合振込は、大きなシステムの入れ替えではありません。振込先を少しずつ登録して、件数と合計を確かめて、送ったあとに結果を見る。それだけで、月末の午後は少しずつ戻ってきます。

まずは銀行の画面を、1回のぞいてみるところから。一緒に始めてみましょう。

本記事は一般的な実務情報です。総合振込の提供有無・申込方法・締切時刻・予約できる期間・手数料・ファイル形式・承認の設定は、金融機関や契約内容によって異なります。実際の操作や設定は、お取引先の金融機関の案内をご確認ください。

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